- お酒に強い人は顔が赤くなりにくい
- お酒に弱い人は顔が赤くなりやすい
一般的に、これらは事実です。
しかし、全ての人が上記2パターンに当てはまるわけではなく、中には
- お酒に弱い(酔いやすい)のに、あまり顔は赤くならない。
- 逆に、お酒に強い(酔いにくい)のに、すぐに顔が赤くなる。
上記2パターンに当てはまる人もいるのも、これもまた事実です。
いったい何が違うのか・・・?順番に解説していきたいと思います。
まずアルコールの代謝回路を知る
アルコールの代謝は、1~4の順番に分解されていきます。
- アルコール(エタノール)
- アセトアルデヒド
- 酢酸
- 水・炭酸ガス
- 1→2で働くのがアルコール脱水素酵素(ADH)
- 2→3で働くのがアセトアルデヒド脱水素酵素(主にALDH2)
酢酸は人体にとって無害な物質なので、あとは水と炭酸ガス(二酸化炭素)に分解されます。
ご存知のように、アセトアルデヒドという物質が二日酔いや顔が赤くなる諸悪の根源となる物質です。アセトアルデヒドの分解能力(ALDH2の能力)が遺伝的に高い人がお酒に強いと言えるのですが・・・、
酔いやすいかどうかという基準で見た場合、ADHの能力も関わってくるので解説したいと思います。
酔いやすいのに赤くならない人
酔いやすい人は、「アルコールが体内で分解されづらく、アルコールとして存在し続ける時間が長い」という性質を持っています。
つまり、アルコールを分解するアルコール脱水素酵素(ADH)の活性タイプが弱い人が該当します。このタイプは、アルコールが分解されず体内に長く存在するので、比較的酔いを感じやすい体質だと言えるでしょう。
遺伝的にアルコールは分解されにくい体質ですが、一方で、アセトアルデヒドの分解能力は高いのがこのタイプの特徴。
アルコールからアセトアルデヒドに代謝された後の処理が速いのです。だから、二日酔いにもなりづらいし、あまり顔が赤くなることもありません。
本人は結構イイ感じに酔っぱらっている感覚があるのに、顔が赤くならず、周囲から見るとシラフに見られ、「酒豪」と思われるタイプです。
酔いにくいのに赤くなる人
これは上記タイプと全く逆のタイプで。。酔いにくい=アルコールをすぐに代謝(分解)でき、アセトアルデヒドに変化させる能力が遺伝的に高い体質です。
このタイプはアルコールが体内に存在する時間が短く、「酔い」を感じにくいです。
一方で、アセトアルデヒドの分解能力は低いので、酷い二日酔いになったり顔が真っ赤になったりします。酔ってない感じだから、たくさん飲んでしまう。しかしアセトアルデヒドの分解能力は高くない。
肝臓を悪くするリスクが高く、要注意な体質です。
一覧表で見やすく
以上、冒頭で述べた2タイプ+上記2タイプを一覧表にしてみました。
酔いにくい | 酔いやすい | |
顔が赤くなる | ADH:強い ALDH2:弱い |
ADH:弱い ALDH2:弱い |
顔が赤くならない | ADH:強い ALDH2:強い |
ADH:弱い ALDH2:強い |
自分自身がどのタイプか正確に知ることは、適切な飲酒対策を講じる上でも大切なことです。
しかし、アルコールパッチテストなどの簡易テストでは4タイプいずれか「正確に」判断するのは難しいものです。自身がどのタイプなのか確実に知るには、遺伝子検査が良いでしょう。